前回の記事では副詞についての解説をした。
副詞や形容詞は修飾語と呼ばれるものに多くの場合分類され、文章の表現を鮮やかなものへと変えてくれる。
今回は、修飾の要素を持つ前置詞についての解説を行う。
この記事は英語を1からしっかりと学びたいと思っている人や英語のあやふやな認識をしっかりとしたものへ昇華させたい人に向けた記事なので、基礎が固まっている場合には読み飛ばすことを推奨する。
また、この記事は前置詞についての個別のイメージや使い方を説明するものではないので、個別の使い方についてのイメージを掴みたい人も読み飛ばしてかまわない。
前置詞とは何なのか
早速前置詞についての解説を行う。
結論から言うと前置詞とは直後に名詞を持つことで副詞や形容詞のような用法を持つ品詞である。
まずはどのような前置詞があるのか確認してみよう。
以下は前置詞の例である。
at・on・in・for・with・of・to・from・by・among・toward・along ・over・off・due to・owing to・out of ・in front of など
上記は前置詞の一例に過ぎない。
前置詞には”at”や”on”のように1語であるもの、”owing to”や”due to”のように2語で意味を持つ二重前置詞、”in front of”のように3語以上で意味を持つ群前置詞の3種類がある。
また、前置詞はそれ単体では意味が完結せず、必ず後ろに名詞に相当する言葉が必要になる。このように文章の中で意味に現れにくいものを機能語と呼ぶ。
機能語は発音において弱く発音され聞き取りづらいと言う特徴がある。
機能語は、前置詞の他にも冠詞や接続詞の”that”が挙げられる。
形容詞の働きをもつ前置詞
次に用法についての解説を行う。
まず最初に確認する用法は、形容詞としての働きを持つ前置詞だ。
以下は形容詞としての働きをする前置詞の例文である。
① All workers in ABC Company should go back to home before 5p.m. (ABCカンパニーのすべての社員は5時前に退社する必要がある。) ② Our headquarter is in Yokohama. (私どもの本社は横浜にあります。)
①は限定用法としての形容詞と同じ働きをする前置詞の例である。
前置詞表現である”in ABC Company”が”All Company”を修飾している。
②は叙述用法としての形容詞と同じ働きをする前置詞の例である。
前置詞表現である”in Yokohama”が文中の補語として働いている。
この説明を読んで形容詞についてもっと知りたいと感じたら以下の記事を参考にしてほしい。
副詞の働きを持つ前置詞
続いて副詞としての働きを持つ前置詞を紹介する。
以下は副詞としての働きをする前置詞の例である。
① I usually get up at 7a.m. (朝は大抵7時に起きる。) ② Of all students, Tom is the tallest boy. (全ての学生の中で、Tomが最も身長が高い。)
①は副詞と同じ働きをする時間を表した前置詞の例である。
この例以外にも、場所・条件など副詞で表すことのできる表現は前置詞でも表せる場合が多い。
②は副詞と同じ働きをする範囲を表した前置詞の例である。
今回の例文のように、副詞表現と同様に前置詞表現が文頭に出たり文中に現れたりすることも十分にあり得るので注意が必要だ。
この説明を読んで副詞についてもっと知りたいと感じたら以下の記事を参考にしてほしい。
前置詞を伴う句動詞
最後に紹介するのは前置詞を伴う句動詞だ。
ここからは少しレベルアップした話に移る。
句動詞とは動詞の直後に特定の前置詞や副詞を入れることで意味が成り立ったり、本来の意味とは全く異なる意味となる動詞の塊を意味する。
今回紹介するのは、その中の「動詞 + 前置詞」の例である。
以下は「動詞 +前置詞」の例である。
① He always laughs at his friends' behavior. (彼は常に友人の振る舞いを笑う。) ② She gave up smoking. (彼女は喫煙をやめました。)
①は自動詞+前置詞となるような句動詞の例である。”laugh”(笑う)は自動詞であり、笑う対象を表す場合には必ず直後に”at”が続かなくてはならない。
よって、”laugh at”の形で覚えてしまって何ら問題はないだろう。
このように自動詞の後ろに前置詞が必要とされるケースは非常に多くこれらはセットで覚えると良い。
②は他動詞+前置詞となるような句動詞の例である。”give”は単体で他動詞として「〜をあげる」の意味を持つ。
しかしここでは”give up”を1つの塊として考え、「〜をやめる、諦める」という意味の異なる動詞へと変化する。
このように他動詞+前置詞の並びとなる場合は本来の意味とは全く異なった意味を持つことを頭に入れておいてほしい。
この説明を読んで自動詞と他動詞について復習をしたいと感じたら以下の記事を参考にしてほしい。
まとめ
今回の記事では前置詞についての確認を行なった。
要点をまとめると以下のことが言えるだろう。
①前置詞とは直後に名詞を持つことで副詞や形容詞のような用法を持つ品詞である
②句動詞として動詞+前置詞の並びでも使われる
③自動詞+前置詞は動詞に大きな意味の変化は与えない
④他動詞+前置詞は動詞に大きな意味の変化を与える
以上の特徴を押さえて前置詞をマスターしよう。